【こんな症例も治りますシリーズ 765】『 犬の細菌性膀胱炎による血尿 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の絵は、オス犬の泌尿器のイラストです。

■ メスに比べると、尿道の長さが長く、前立腺も尿道に関係していますので、『 尿道関連の病気 』が多いです。

■ メスはオスに比べると、尿道が太く短い関係で、バイ菌が膀胱に逆流しやすく、『 膀胱関連の病気が多い 』です。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/Rn5NN

 

 

犬 パグ 14歳 オス(去勢手術済)

 

 

 

【 血尿が出て 】来院されたワンちゃんです。

 

 

 

 

◆◆ 飼い主さまが『 尿が赤い 』とのことで来院されました。

 

 

 

■ 元気や食欲はありましたが、排尿の頻度がやや増えているとのこと。 身体検査と尿検査をすぐに行いました。

 

 

 

◆◆ 尿検査で細菌を確認、原因菌の特定に進みます

 

 

■ 尿検査の結果、細菌の存在を確認しました。

 

 

■ さらに、染色検査を実施し、細菌の形状や性質からおおまかな菌種を推定。 この情報をもとに、効果が期待できる抗菌薬を選定・処方しました。

 

 

■ しかし、細菌性膀胱炎では、「推定」だけで治療を進めるのはリスクがあります。 そこで同時に尿培養検査を行い、原因菌が本当に想定通りか、そして処方している抗菌薬に耐性する菌がないかを確認しました。

 

 

 

 

◆◆ 培養検査の結果、原因菌を確定

 

 

■ 数日後、培養検査の結果が出ました。 初期に推定した菌が同定され、処方中の抗菌薬に耐性はなし。

 

 

■ そのまま抗菌薬を継続した結果、血尿は消失し、排尿の頻度も正常に回復しました。

 

 

 

 

 

◆◆ 犬の細菌性膀胱炎治療の大切なポイント

 

 

■ 犬の細菌性膀胱炎では、ただ抗生物質を出すだけでは不十分なことがあります。

 

 

■ 『 原因菌の同定 』と『 薬剤感受性の確認 』を行うことで、確実に、そして不要な耐性菌の発生を防ぎながら治療することができます。

 

 

 

 

 

◆ 血尿がある時は、必ず『 画像診断 』と『 尿中の細胞検査 』が必要です。 特に、ワンちゃんのプレシニア期・シニア期にはトータルな確認検査が必要です。

 

 

 

 

 

◆◆ まとめ

 

 

■ 今回のように、正確な検査に基づく治療が、速やかな回復につながることをあらためて実感しました。

 

 

■ 『 血尿が出たけど元気だから様子を見よう 』というケースでも、原因をしっかり突き止め、適切に治療することが重要です。

 

 

■ 排尿の異常や血尿が見られた際は、早めの受診をおすすめします。

 

 

 

 

 

獣医師 土屋 優希哉

Page Top